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2008.07.05

世界中にいる、反政府ゲリラという重い現実。

今週2日から、滞在中のウィーンで見るCNNはずっと、コロンビア政府軍が同国反政府ゲリラを「まんまと」だまして、コロンビア大統領候補にもなったイングリッド・ベタンコート女史ら捕虜15人をアマゾンのジャングルから救出したニュースを、相当詳細に、かつ何度も伝えている。

Colombia tricks rebels into freeing hostages
http://www.msnbc.msn.com/id/25499926/

Rescue hinged on fake 'international mission'
http://edition.cnn.com/2008/WORLD/americas/07/02/farc.rescue/?imw=Y&iref=mpstoryemail#

たったいま、コロンビア政府軍による、“救出”の様子のビデオの初公開にあたるブリーフィングの生中継をCNNがやっていて、それを見ていたのだが、なんと
 ・コロンビア政府軍の軍人がスパイになって、捕虜のいるゲリラの中に入り込み、
 ・そのスパイの仕事ぶりが良いからか何か、同ゲリラのなかで身分の高いところまで上り詰め、
 ・(同ゲリラの仲間になりきっている)そのスパイが
  『政府との交渉のため、捕虜の要人たちを、まとめてヘリコプターを使いゲリラ拠点間を移動させる』
  という架空の話を同ゲリラたちに信じさせて、
 ・コロンビア政府軍演じる「移動用ヘリコプター」に(それはゲリラを演じているから)捕虜らが両手両足を縛った状態で乗せられ、
 ・全員を連れ出して離陸したところで「実は救出に来ました」と告げハッピーエンド
というストーリーだったとのこと。
これまでCNNを「チラ見」しかしていなかったのでここまで「大胆不敵」な話だとは知らず、もうすっかり、映像を見ながらお口がアングリ…。
(その後、検索もしてみたので、トラックバックさせていただきました。)

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一般的な日本人にとって『反政府ゲリラ』というと、どんな集団が思い浮かぶのだろうか。アフガニスタン・タリバン、パレスチナ・ハマスなどがそれであろうか。
しかし、まぁめちゃくちゃ「平和ぼけ」しているので、なかなかイメージしにくいのは確か。

私に若干縁のあるセネガルにも、反政府ゲリラがいる。
セネガルは旧宗主国の関係で国土の真ん中に別の国(ガンビア)が挟まっている。それも影響してか、セネガルの首都・ダカールからみてガンビアの向こう側(南側)のセネガル-カザマンス地方は、同地方の分離独立を主張するMFDC(カザマンス民主勢力運動)という反政府勢力が居て、セネガル政府と小競り合いを続けており、いまだ死者も出ている。

外務省海外安全ホームページ
セネガルに対する渡航情報(危険情報)の発出(2007/10/16)
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=109

(なお、日本の出す、この手の「渡航延期」等の発出は、「安全重視」の傾向が大変強い。諸外国と比べてもかなり「辛め」に出すことが知られている。こんな「国が国民に諸外国の安全について告げる制度」など無い国(=海外渡航の自己責任が徹底されている国?)も存在する。)

確かに危険と隣り合わせなのだが、同地方にはヨーロッパ人がこぞって訪れるバカンス拠点もあって、ごく一部とはいえ、多くの観光客が居たりもする。
反政府勢力・反政府ゲリラのたぐいは、それぞれ国ごとの事情を抱え、「息苦しい」とか「緊迫した」とかいう形容を超越した対峙を続けている。それが現実。
ひるがえって日本人が外国で誘拐に遭ったときの報道たるもの、本当に大きい。「なんでそんなところに行くんだ」と喉元まで出かかっているように思えて仕方ない場面も間々見られる。

しかし、こんなインタラクションは根絶しなくては…みたいな勢いの考え方は、その気持ちも分からないわけではないが、少し違うと思う。
暴力をもって主張を展開するのはよくない---その“正論”と現実のはざまは、やっぱり深い。日本にも『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』という言葉がある。こじれ続けた対立は、力の争いに陥ることもあり得る。『投票で決しよう』が、もはや通じない。

コロンビアの話に戻すと、反政府ゲリラのもとにはまだ700人も捕虜が居るらしい。場所はアマゾンのジャングルのど真ん中など。
今回のような「大技」は、一度手の内を見せたらもう使えない。この対立をひも解くには……。私も含めて『平和どっぷり』の人間の智慧は、はかない。

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Comments

mikeさん、トラックバックをありがとうございます。
それと、記事中のリンクも。

私もさっきまでCNNの解放のニュースにみとれていたところです。こういう大胆なトリックは一度しか通用しないでしょうから、やはり根本的な和解策を練って、地道に和平交渉へもっていくしかないでしょうね。

すべての反政府運動は、貧富の差から生じている場合がほとんどだと思えるので、抜本的な経済政策で社会の底辺にいる人々に職の機会を与えない限り、こうした対立はなくならないでしょうね。

ガザの問題なども昨年ずいぶん書きました。
今後ともよろしくご愛読ください。

Posted by: 米流時評 ysbee | 2008.07.05 at 07:12

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