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2005.07.25

たび日記 2005/7/24

パリで飛行機を降りたら24日で、
パリを出て成田に着いたら25日なので、
24日はあっという間。


しかし、日本人の子ども*だけ*は、機内で奇声を発したり暴れたりする。
いままで色々な国を訪れたが、子どもに限ると、日本だけだ。

今日の通路をはさんで隣の2歳くらいの子も、そうだ。いま、そこにいる。
大きな声で歌ったり親に話しかけたり、きゃーとかわーとかいう奇声を出したり。そのたびに母親が「しーっ」と言う。
後ろの座席をのぞき込んでいると、「座って」と言ってその子を引っ張る。
前の座席を蹴ると、「やめなさい」と言われる。

私には、この「注意」が、却ってこの子の奇行を促進しているようにみえる。
ぐずったり、ヘンな声を上げると、親がこちらを向いて「しーっ」という。これが子どもにとっては、「注意されている」のではなく、「注意を向けてもらえている」なのだ。

もちろん予想であるが、この親は、この子が「おとなしい」態度で公共の場にいるとき、きっと「褒め」てもらっていない。
子どもは、親の元にくっついて離れない。いつも興味を引きつけていたい。そこで、なんとか親の興味を誘う。
一方、親は反応する必要がある。そこで「いつ・どのように反応するか」が問題になってくる。このとき「奇行」のときだけ「反応」すると、子どもが

「おっ、反応した! やった、注意を向けることができたぞ!」

と、「学習」する。

たとえ叩かれても、

「やった!」

と、Mである(冗談)。

とてつもなく純粋な子どもである。そして子どもは、繰り返すのだ(合掌…)。
つまり、奇声を発したり奇行をするのは、「学習の成果」なのだ(以上、持論)。


一方、例えば英語には「Good Job!」(やったね!・よくできたね!)という言葉があって、これが本当に多用される(特に米国)。

呼ばれて、返事ができた。「Good Job!」
食卓から台所まで、食器を運んだ。「Good Job!」
地下鉄を1駅、お行儀よく乗れた。「Good Job!」

「褒め」は子どもにとって「注意喚起が達成できた」ことにあたり、その達成感はものすごく大きい。これを「学習」するため、「もっと注意喚起させよう」と振る舞う。


日本と諸外国(特に欧米)とは「公」に対する考え方が違うところが多いといわれる。マナーを考えるときの目安にFOP(フォーマル・オフィシャル・プライベート)と称されるものがあるが、このうちプライベートが、日本は欧米とかなり趣が異なる。最近は「Japan Cool」などと称してその良さを認める向きもあるが、欧米が「良い」ものとすれば、日本のそれはかなり「ずさん」であって、それはここで述べたような「学習の成果」に依るものが多い気が、する。

「子どもにいちいち『Good Job!』だなんて、犬じゃあるまいし!」

と、言う向きもあるのだろう。だが欧米は、完全に考え方が違う。

「いや、ってゆーか、特に小さな子どもなんて、犬みたいなもんですから。」

- - - - -

前向き思考な人と、いつも言い訳・文句の多い人、
うまくいくように努力する人と、すぐに諦めてしまう人、
ある提案があったとき、よい点をすぐに見出す人と、問題点・課題をすぐに見出す人。

いろんな人がいて、いろんな性格を持つのが人間だが、このような一人ひとりの性格や振る舞い方の規範は、私は至極「学習の成果」だと思う。


今年度は初めて、幼稚園教諭教職課程の科目を担当した。そのなかで、いろいろなことを知った。
実は、次のような表題の大臣名の文書がある。

幼稚園教育要領
小学校学習指導要領

小学校には「学習指導」の指針が示されているが、幼稚園には「教育」の指針が示されているのである。
ここでいう「学習指導」は、教科ごとに教授項目(学ばせたいこと)が示されているものを指す(はず)。
実は文部科学省的には、幼稚園児は「学習しない」のか(?!)と思えてきそうだが、そうではなく、「学習指導はされない」だけであって、「教育はされる」。

日本では「学習」を、この「学習指導」に限定して捉えることが間々ある。
心理学では学習をもっともっと広く捉えて、たとえば「お手」ができない犬がそれをできるようになったり、転びながら自転車の乗り方を身に付けたりするのも「学習」と呼ぶ。なにも字を書けるようになったりすることだけが学習ではない、と捉える。

が、前述の傾向に基づいて、仮に「学習」を、この「学習指導」に限定して捉えることにしよう。
すると「学習は学校の専権事項」になる。そこで「親は学習の主体的当事者ではない」と考え(がちにな)る。そこで親は自らの子の学習を「提供されるもの」と受身的に捉え、ときに「親の学校批判」が始まる。

まぁ批判は甘んじて受けることにしよう。しかし、である。「学習」をこう捉え続けた場合、ここまでの親の関与は「学習」ではないことになる。どんなことを親から「学習」していても!!、である。
これは大変なことだ。いままで「奇声を発することで注意喚起することを『学習』してきた子」をいきなり連れてこられて、「学習のほう、よろしくお願いします。」と言われた日には…。


…そうこうしている間も、「ぞぉ〜うさんっ、ぞぉ〜うさんっ、」と歌い出した子どもに、母親が「しーっ」といった。子どもの作戦、大成功だ。
親は疲れてくるので、子どもはエスカレートする。もう悪循環。

そういう親に限って、機内のウイークリーヨミウリを手にして、『「親」力』とやらを気にする。
かくも子育て・教育は、大変だ。

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Comments

でもねぇ~。
騒いじゃう子は、騒いじゃうんですよ。
どうやっても。。。

そもそも男の子はじっとなんかしてられない。
特に2歳児は手におえない。
外国の子どもは言うこと聞くまで乗せてないか、それとも薬飲ませてるかどっちかじゃないでしょうか。
子供用の眠くなる薬があるそうです。

海外から帰省してきた私の友達に、
「たいへんだったんじゃない?」と聞くと、
「薬のませちゃったから楽、楽。」と言っていました。

Posted by: ぷらごろ | 2005.07.26 10:21

そうですか、「ヤク漬け」ですか… (-_-;) (ちょっと語弊があるかしら…失礼。)

ぼくもまぁ、そういう「やんちゃ気質」のあるほうが「人間力」があるだろうと信じているので、好きな子どものタイプだったりはします。が、やっぱり

> 言うこと聞くまで乗せてない

ことは、重要な視点かと。

#「子連れで海外に行って遊びたいから、言うことを聞かせられるように頑張ろう」ってモチベーションって、アリでしょうか…。

Posted by: mike | 2005.07.28 15:21

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