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2005.09.15

たび日記 2005/9/14

昼前からロンドン自然史博物館。
どうしても見たくなった、それも18世紀前半のオランダ語の本というのがあって、予約して訪問した。

歴史研究者や分類学者は、こういうところに来ては文献資料収集をするのだろう。
私にとっては、初めての経験だった。

到着するなり、その本を目にした。「装丁は新調し直したものですが」と断られて出てきたその本は、時のパワーをそこはかとなく感じるもの。するとその後、

「こちらは大変古いので、触る際にはこのお手ふきで手を拭きながらお願いします。」
「本の背を保護するために、本を開くときはこちらの台に載せてください。」
「めくるときは、角よりも紙の減りが少ない真ん中の方を持ってください。」

などなどなど。

古文書の域に達しているのであろうその本は、近世オランダ語がちっともわからなくても、当時の植物分類学の息づかいを感じさせた。

この本と対面する前に接した、当時の科学を語る日本語の本によると、18世紀初頭のころの植物分類学は、それに取り組んでいることで「創造主に近づく」ことにつながると考えていたようである。
創造主すなわちキリストは、数多くの植物をこの地球に授けられた。これらがどのような体系になっているのかを、分類によって知ることは、神の手に近づくことを意味していたのである。
だから、学者にはパトロンがついて支援をし、神聖な活動に加わりたいと弟子が集まり、中には世界各地に植物を集めるために(当時危険だった)航海に出る者も現れ、そしてときには命も落とした。

いま、キリスト教と科学との関係といえば、たとえば生物学の進化に関する議論が人間の生まれに関する教義的考え方(Intelligent Design)と食い違うことをどう扱っていくかといったことが話題になるのだが、この当時は、科学の取り組み=宗教だったわけだ。
ちょうど、絵画=宗教、だった時代と同じか。

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ロンドン=パリのユーロスター、車内の食事が最高だった。もしかしたら、ロンドン滞在中で一番良い食事だったかも。
ちょうど、飛行機のビジネスクラスの機内食のように、食器は陶器、スターターからメインへと配膳も二回にわかれ、アルコールは飲み放題(!)。
肝心の味は、実に秀逸。ありがたい。

今日の歩数:15800歩

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