アフリカ・中南米食糧輸入国が「食料サミット」で疑っていること
…っていま題名を書いてみて思ったが、真剣に死活問題の国にしてみれば、「食料サミット」じゃなく「食糧サミット」だよな。マスコミ各社は「食料サミット」と報じているが。
…で、抜粋。
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サルコジ大統領は演説で「国際社会は途上国の農業生産拡大に特に取り組む必要がある」と訴えた。農業技術の指導や生産インフラの整備によって貧困国の生産力を高め、世界的な食料需給を改善する狙いだ。スペインのサパテロ首相も「先進国は継続的に途上国への生産支援を増額すべきだ」と述べた。
(中略)
途上国側では、(中略)農業生産支援に期待を強めている。だが途上国では農業支援の継続性に疑問を示す見方も出ている。
(日本経済新聞2008年6月4日朝刊14版8ページ「食料サミット 途上国支援相次ぎ表明」)
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注目は最後の一節。ここが、日本で見ていると、わかりにくい。
大国(旧宗主国)と途上国(植民地)は、植民地独立後も主従関係が相当強く残されている。人権的な視座では独立が大事で、実際、アフリカでは1960年代に相次いで進んだわけだが、(語弊を恐れずいうと)旧宗主国のうち特にフランス・スペインが、
大国が自国の農業生産に大量の補助金
→安価な基本食糧を大量生産
→輸出先としたい途上国にODAとして援助・費用負担
→途上国が大国の食糧を買う(買わされる)
→途上国は一種の"補助金漬け"で自国の農業生産性を上げられないまま従属関係を維持(させられる)+大国は"上がり"からの税収を得る
→(以上を循環)
という構図を作り出している。たとえば「ロングライフ牛乳」「遺伝子組み換えトウモロコシ」なるものを生産して輸出すると、生産性の優位さゆえ途上国の畜産業・農業は壊滅的打撃になる。たぶんアメリカも(旧宗主国ではないものの)このスキーマを利用している。
そこで途上国にしてみれば「農業生産を指南します…って、ほんとにそうなのかよ?」と、なる。ほとぼりが冷めたら、(主従関係を維持するために)また元に戻されるのではないかというわけだ。
純粋な愛情を注ぎ込む国からのODA、というものが存在するなら(苦笑)、こういうところに活躍の活路がある。
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