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2014.02.22

川重の水素発電設備量産の意味と、こんご必要な技術革新

nikkei.com: 川重が水素発電設備 工場向け、世界初の量産 17年メド
http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD120G1_V10C14A2MM8000/

まだ発電装置がサンプル出荷されたわけでもなく、自動車見本市の「コンセプトカー」のような「まだ1台だけだけど、とりあえず完成品」がお披露目されたわけでもないので扱いが小さいのは止むを得ないとは思うが、この記事は「シェール(ガス)革命」のような資源によるのとは異なるカタチでのエネルギー革命の基点にもなり得る、実は大きな話題のはず。
日経が16日日曜朝刊1面中央で伝えたが、その後は、なぜかサーチナ(Searchina)、そして企業の"株価材料"を伝えるWebサイトのいくつかで扱われた程度。なんと、日経の英語版ページにはこの記事の英訳が、まだ出てこない。

川重(川崎重工業)のお家芸の一つである、火力発電の基盤技術「ガスタービン」を、液化天然ガスや気化石炭ガスではなく、燃やした水素で回してしまおうというのがこのたびの話。が、日経の記事中に"冷却装置"を改良した、といった表現が使われているところを見ると、「せっかく熱を発生したのに、タービン機械が壊れないようにするためにやむを得ず冷やさないといけないくらい、熱をやむを得ず捨てる」ことになってしまっているということが読み取れる。エネルギー技術において「熱は骨までしゃぶる」のは基本中の基本だから、この調子ではまだ、残念ながら高効率とまではいえないと思われる。"冷却装置"とは、実は物騒な元素・水素を用いる以上「まぁ、要るわな」と思う必須技術だと、言われてみれば推測できる。が、私は恥ずかしながらこれを初めて知った。

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で、この水素発電ガスタービンだけが進化するだけでは、実は、水素発電本領発揮とは、ならない。
発電を複雑な工程群とみてシステム全体で考えた場合、その「上流」にあたる水素生成技術の進歩が必要になる。目下、有望なのはたとえば太陽光発電(等自然エネルギーからの電気で電気分解)なのだろうが、私は、【人工光合成】を、こんご重要視して良いと思う。今はまだ夢物語だけど。
この川重の量産技術が2017年出荷メド、2020年頃に価格面でもリーズナブルになるとして、その同じ2020年頃に追随して、人工光合成の技術革新が進むことを、かなりの期待を込めて、想像してみたい。
なにせ、火力発電はほぼイコールCO2排出発電。だから、「CO2排出の絡まない『上流』」を構築しなくてはならない。

工程の流れは、まず太陽光で人工光合成をなし、炭素を固定化すると同時に直接的に水素と酸素を生成。水素を発電に回す。発電は家庭用小型タービンで水素燃焼にて行う…と。これをぜんぶ、自宅の裏・屋上・地下等に設置した設備で行えれば、『我が家電気』のできあがり。作って、産地直送。運搬ロス(電線減衰)も大幅カット。

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おそらく「水素技術の夢をぶちこわす」から報道等でワザとほとんど伝えられていないのか?と思えてしまうほど知られていないのだが、現在の工業的な水素製造法のシェアトップである「水蒸気改質法」はなんと、炭酸ガスを生む(ぉぃぉぃ)。
だから、とにかくなんとかして「カーボン・フリー」でかつ安価な水素が得られないと、水素関連技術はぜんぶ、「結局CO2を出してしまう技術」という誹(そし)りを免(まぬか)れない。是が非でも、このような批判をかわさなくてはならない。

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